「そこの忍たま!」
「「「「「・・・」」」」」
「忍たま5年い組久々知兵助!」
「はっはい??!」
「私の・・・・豆腐料理っ食べてください!!」
「「「・・・・はぁあっ?!」」」
「・・・・と と豆腐だって?!」
「兵助涎・・」




休日の午後
まったりとした時間を友人と過ごしていた久々知兵助
5年い組の中でも秀でて優秀な彼
休日でも先程
午前中に友人とトレーニングをしていたので昼飯の量は育ち盛りというのもあるが
ガッツリ食堂のおばちゃんの美味しい定食を食べたばかりだ

しかし
それも数刻前
育ち盛りでなくても小腹に何か
おやつ的なものが欲しくなる時間帯に現れたのが
威勢のいい高い声で1人の忍たまを呼ぶくの一教室の生徒だった


「なんだなんだ?」
「今あの子兵助呼んだよね?」
「ついでに豆腐って言ってたぞ」


鉢屋・不破・竹谷の3人が突然現れたくの一
名はなのだが1年からの恐怖体験により彼女を警戒する中
当の本人は豆腐料理に反応し
級友の尾浜に口元を拭けと言われ袖で垂れた涎を拭くとトットコッ軽い足取りで
無防備に名前も知らないくの一に近づいていった


「君 豆腐料理食べさせてくれるの?」
「ええ!」
「本当!?もしかしてその手に持ってるのが・・」
「豆腐料理よ!」


キラキラ
目を輝かせてに問おた久々知には気分を良くしたのか
久々知の視線がの片手にある白い布が被る
豆腐料理が中にあると思われる手元に注がれたのを確認した後
ジャジャンっと自ら効果音を叫び
は布を取り払い豆腐料理を久々知の目の前に突きだした


「・・・・」
「「「「・・・・・?」」」」
「豆腐ドーナツよ!!」
「これ・・が 豆腐料理?」


が出した豆腐料理
それは南蛮菓子であり
ドーナツを知らない久々知に
尾浜・鉢屋・不破・竹谷の他の4人も
ボケーッとしたまま豆腐料理だとくの一が言い張る
見たことのない食べ物に視線を集中させた


「えっまさかドーナツ知らないの?!」
「あ・・うん これって本当に豆腐料理なのか?」
「豆腐料理よ!材料にしっかり豆腐が入ってるの!一般的なのは入ってないけど」


反応のない久々知にが焦って問えば
申し訳なさそうに頷く久々知
そして見た目油っぽい菓子を指差し
これのどこが豆腐なのか眉を潜めて聞いたのがいけなかったのか
いきなりその場に崩れ落ちた
片手の豆腐ドーナツの皿は丁寧に地面に置かれたが
両手両膝をつき
豆腐料理・・豆腐ドーナツを作った敬意をブツブツ呟きだした


「久々知兵助が豆腐好きだって言うから豆腐料理にしたのに・・そりゃ南蛮菓子に豆腐を加えたから邪道かもしれないわ
でも意外と美味しかったしサッパリして食べやすいドーナツが出来たのに豆腐じゃないなんて・・・
オヤツに食べて貰おうと思って菓子にしたのは間違いだった?純粋に冷奴の方が良かったってこと?」
「・・・・」
「・・・・なあ兵助」
「・・あ?」
「その・・食べてあげれば?」
「だな・・本当に豆腐料理かわからない南蛮菓子だけど兵助の為に作ったんだしよ」
「そうだよ 美味しいかもしれないしね?」
「毒は入ってなさそうだしな」


別に豆腐ドーナツ自体を否定されたわけでもないのに
1人勝手に落ち込み始め
もう色々と脱線しまくっているの思考

そんなくの一を憐れに思った尾浜・鉢屋・不破・竹谷の4人は
とりあえず久々知に食べてみろと豆腐ドーナツを勧めてみた
勿論相手はくの一なので
鉢屋が言う通り何かが入っているかもしれないが・・


「じゃあ食べてみる・・・・あの 本当にドーナツ?に豆腐が入ってるんだよな?」
「ブツブツブツ・・ えっ豆腐?あっ!うん入ってるの!」
「じゃあ食べてもいい?」
「食べてくれるの?!はい!」


登場時の勢いはどこへやら
一度落ち込み消極的になったのかは久々知にそーっと
再び豆腐ドーナツを目の前に差し出し
1つ
久々知が手にとると尾浜達と一緒にじーっと久々知の1つ1つの動作を見守った


「・・・・」
「・・・・兵助 どう?」
「・・・・・・油っこいと思ったけどあっさり食べられる 流石豆腐が入ってるだけあるよな」
「あ そうなんだ」
「って!味の話だよ!」
「美味いか?」
「ん 美味しいよ」


モグモグモグモグモグモグ
聞くのも怖く
ただ久々知を凝視するの代わりに尾浜が久々知に感想を求めると
料理研究家というか豆腐研究家な意見を言う少しズレた久々知
すかさず竹谷の突っ込みが入ると
鉢屋が私も食べたいと手元のドーナツに手を伸ばしてきたのを交わした久々知はまた一口
豆腐ドーナツを頬張りながら尾浜達に美味いと久々知が言った瞬間
不安顔のの顔が一気に明るく
口元を緩め目尻を下げて喜んだ


「良かった!」
「あ ありがとう・・・えーーと名前聞いてもいい?」
 よっ宜しくね?久々知兵助くん」
さんね 宜しく」
「あっもう1つ食べる?」


今更ながらの自己紹介を済ませた
久々知の手から豆腐ドーナツが無くなると直ぐに新しいモノを差し出した

そして2つ目の豆腐ドーナツを食べながら
何故
自分に豆腐料理を作ってくれたのか理由を聞く久々知に
そりゃ下心があるからだと気付いている尾浜達
忘れ去られた4人は心の中で突っ込んだが鈍感な久々知は気付くわけもなく
が少しだけ恥じらった素振りをしたが
堂々と久々知が気になるから久々知の好きな豆腐料理を食べさせたかったと告白した


「だからこれから仲良くしてくれない?」
「別にいいけど」
「ヤッター!じゃあ明日の朝御飯一緒に食べましょう 明日は冷奴が出るからあげるね」
「本当か?!ありがとうさんっ君って優しいんだな!」


男を落とすには胃袋を掴めば良いと言うが
これは最早餌の豆腐で釣っているだけである
それでも
久々知は豆腐が食べられれば良いのかとこれからも仲良くしていく事に意欲的だった


「えっ朝はいつも一緒に食べてるのに・・・」
「勘右衛門 俺達と一緒に食うか?」
「居づらいでしょ?」
「たまには豆腐がない朝を私達と迎えようじゃないか」


級友にあっさり見捨てられた尾浜
ろ組の3人が暖かな
何処か諦めた顔で尾浜を慰めると
豆腐小僧と同じ組なのも大変なんだと此方も諦めた顔で
久々知とが自分達の存在を忘れ話し込む隣
尾浜は鉢屋達に愚痴を溢し始めた


『ハチミツサイダー』様 贈呈夢
09/12/09