「ねぇ、豆まきしようよ!」
そう言って豆を大量に持ってきたのはタカ丸さんだった。
「いいですね、やりたいです!」
「…まぁ、仕事も終わりましたし」
「僕もやりたいです!」
「俺は別に…」
「そんな事言わずに三郎次も、ね?」
そんなこんなで火薬委員総出で豆まきをする事になったのだが。
「誰が鬼やる?」
「そうですねぇ、下級生にやらせる訳にはいきませんし、私か久々知君かタカ丸さんですかね」
「…あの、さんは女の子だから…」
「駄目だよちゃん、ちゃんは女の子なんだから!」
…あぁ、やっちゃったなタカ丸さん。
「え、でも、あの…」
「いいの、皆ちゃんには豆投げれないだろうし、ね?」
タカ丸さんは髪結いの仕事で女の人と話し慣れてるし、本当に何の気もなく言ったんだろうけど、明らかに久々知先輩の機嫌が悪くなった。
久々知先輩も言い掛けてたもんなぁ、タカ丸さんに打ち消されちゃったけど。
しかもその後の先輩の反応も女の子扱いしてもらってちょっと嬉しそうだったし、尚更だ。
「…やっぱり、最年長のタカ丸さんが一番適任なんじゃないですか」
「え、久々知君目が怖いんだけど、というかその豆の握り方的に物凄ーく力入ってるよね…?」
「タカ丸さん、悪気はなかったんでしょうけど久々知先輩は豆腐と先輩の事に関しては馬鹿になるんですから、早く逃げた方がいいと思いますよ」
…どうやら、火薬委員会では鬼より委員長代理の方がずっと強そうだ。





鬼の安否が心配です

(「三郎次先輩、僕らが豆を食べ尽くす前に久々知先輩の気が収まると思います?」「…分かり切った事を聞くな」)